話は大好きなパンにそれてしまったが、お題のヨム・キプールは贖罪の日。ユダヤ新年や、パスオーバー(ペサ)に並ぶ、ユダヤ教における最大の休日の一つである。要は、自らが犯した一年分の罪を、神や周囲の人々(家族、友人、知人)に許してもらえる唯一の日。ヨム・キプールの日は、自らの罪を反省するために、絶食を行う。食べることはもちろん水を飲むことも禁じられている。シャワー、テレビ、音楽を聴く、高価なものを身に着ける(例えば革製品などは昔はとても高価なものだったので、現在でもヨム・キプールで身に着けることは禁じられている)など、自らを楽しませる行為は一切禁止。夫婦間でのスキンシップももちろん禁じられている。ユダヤ新年の日から10日後に、ヨム・キプールは行われる。10日前からヨム・キプールへの準備は行われ、ヨム・キプールにちなんだ様々な行事が発生する。
今年のヨム・キプールは、金曜日の日没から始まり、土曜日の午後8時45分に終わった。金曜日夜から土曜日の夜は、ユダヤ教の安息日でもある。ダブルホリデイで、さらにめでたい日であった(絶食はめでたいと言えないが・・)
ヨム・キプール、絶食前に豪勢なディナーを食べるのが慣わし。 |
一杯食べて絶食に備える。 我が家のシェフはもちろん旦那、シェフラズ。 |
ハシド派のユダヤ人であれば、ヨム・キプールの日はほぼ一日中シナゴーグに缶詰状態で、お祈りをする。空腹と脱水状態でシナゴーグで倒れてしまう人もいるらしく、救急車を待機させているシナゴーグもあるらしい。これには驚いた。テレビも電話もできないヨム・キプールの日。時間をかせぐために、外を散歩している、疲れきった表情の(身なりも少し小汚くもちろん口臭は臭い)ユダヤ人を、マンハッタンで多く見かける。ユダヤ人お互い目で合図している?。
どうしてそこまでするのか?絶食してみてわかったことは、嗅覚が凄くなること。少しの食べ物の匂いも逃がさない。そして絶食が終わった後の食事、シャワー、普段の生活がとても楽しみで仕方ない。これまで普通に暮らしてきたどうでもいい毎日がとても幸せだと再発見できる。そして、食べ物が好きな時に簡単に手に入ることが、どれだけ幸せか実感できる。第二次世界大戦で起きたホロコーストでの悲惨な生活が少しでも理解できる心境に、そのことを考えるだけの猶予も持てる心理状況が一日でも持てる。
実は大のイスラエル映画ファンである筆者(イスラエル映画についてはまた後日明記する予定)ヨム・キプールにちなんだ、とてもキュートで心温まるお薦めの映画「ジョイ(2005)」。毎年ニューヨークで開催されている、イスラエル映画祭で見た。国際映画祭で幾つかの賞もノミネートされた映画で是非お薦め。イスラエルでは多くのユダヤ人がヨム・キプールのルールを守らないで生活しているなど、イスラエルでの生活を垣間見ることができる。
http://www.imdb.com/title/tt0480690/
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